「線が細い写真が撮れるレンズは?」という質問を頂いた事がある。
「線が細い」というのは、言い換えれば「シャープな」という事になると思うのだが、結論から言うと些か極端ではあるがよっぽど古いレンズやトイカメラのような類の物意外は、基本的に非常にシャープで線が細い絵が撮れるレンズだと言える。 その中でも、ライカのウン十万するような最近のレンズは、素人目に見てもかなりシャープではあるのだが、逆に言えば「線の太い」レンズを探すほうが難しいだろう。 しかし、写真を見てみると、明らかに線が太い物と細い物がある。 これは、勿論レンズに起因するところもあるし絞りや、光線状態によっても描写が甘くなることがあるのだが、いずれにしても殆どが「ブレ」と「ピンボケ」によるものだと言える。 「ブレ」の要素は「手ブレ」「被写体ブレ」「カメラブレ」の3つだと思うのだが、まず「手ブレ」をなおす事でかなり写真をシャープにする事ができる。 一般的に、手ブレは「1/レンズの焦点距離(35mm換算)」以下のシャッタースピードで起こり易いとされているが、それ以上のスピードでシャッターが切れる場合に手ブレが起きないのかと言えば、そんな事は無い。 特に線が太いとか細いとか、そういうところに拘るのであれば尚更である。 どんなシャッタースピードであれ、手ブレは起きる可能性がある。 また手ブレ補正機能を持ったカメラやレンズが一般的になってきたが、あくまで「補正」であって、それ自体が無くなっているわけでは無い。 この「手ブレ」を軽減する為には、まずしっかり意識する事だと思う。 体の力を抜き、脇をしめ、肘を体にあてて固定し、息を止めシャッターを切る瞬間に絶対にカメラを持つ手が動かないように意識する事が何より重要であると思う。 また機材の面から言えば、自分の体型にあったカメラを選ぶ事も一つ重要な要素でだろう。 例えば、500gのダンベル体操でもきつい様な女性がカメラとレンズの総重量が、1kgを超えるような機材で手持ちで写真を撮ろうとすれば、手ブレも致し方ないという感じだが、それでもカメラの支え方を工夫すれば、しっかり支える事ができる。 アイレベルファインダーのカメラであれば、自分の「顔」も重要な支点となる。 右手でボディ、左手でレンズ、そして顔でカメラを背面から支えれば3点で支える事ができるわけだ。 ウェストレベルファインダーのカメラであれば、更に支点を増やす事ができる。 まずは自分の体、両手の3点に加えて、ストラップの長さを調整して、ストラップを張った状態にして固定する事で合計4点で支える事ができる。 ストラップでカメラを支えるというのは、ウェストレベルファインダーのカメラだけの事では無く、様々な形のカメラでも使える。 ともかく、どんな形であれ、しっかりとカメラを固定する事が重要だろう。 「被写体ブレ」を防ぐには、シャッターを切るタイミングとシャッタースピードを上げてやる事しかないだろう。 厳密にどのくらいで被写体ブレを起こすかというのは、被写体の動く速さに依存しているのだが、人物等のスナップでは、大体1/30くらいが微妙な線で、最初から動いてる状態の、例えばスポーツ等なら1/200以下はきついんじゃないかなと。 シャッタースピードを上げるといっても、限界があるので、どうしてもアベラブルライト(その場に初めから存在する光)での撮影が難しければストロボを使う事も考えるべきだろう。 ストロボ撮影を毛嫌いする人もいるのだが、やってみると、これが結構面白い。 バウンスさせたり、ディフューズさせたり、色々と工夫する事で自然な光が作れるようになれる。 特に最近のストロボは、様々な機能があり、多少練習すれば誰でも使いこなせるようになっているので、是非とも挑戦して頂きたい。 「カメラブレ」を防ぐのも、シャッタースピードを上げてやるしか無いのだが、その仕組みを理解するだけでも多少軽減になる。 カメラブレは、一眼レフで言えばミラーショックとシャッターショックによって起きるブレの事である。 シャッターを切ると、カメラの中では、ミラーが跳ね上がりシャッターが走るのだが、シャッタースピードで言えばと0.1秒とか0.01秒とか、とんでも無く高速に動作しているので、それなりのショックが起きるのは当然である。 手ブレとの関連で考えると、「1/レンズの焦点距離(35mm換算)」以下のシャッタースピードを基準にすれば、標準から広角レンズで、それを基準にシャッターを切った時にボディブレの影響を受け易い状況になるという事だ。 望遠の場合は、「1/レンズの焦点距離(35mm換算)」以下の基準で考えると、例えば200mmのレンズなら1/200秒が基準になるのだが、そこまで速ければ、ミラーショックやシャッターショックの振動の波がボディに影響を起こす前にシャッターが切れているので、殆ど影響が無い。 広角になればなるほど、手ブレには有利だが、少なくとも1/60に満たないシャッタースピードでは、ボディブレや被写体ブレには、逆に注意を払う必要が出てくるということになる。 広角レンズだからと言ってもブレに対する警戒は必要でありシャッタースピードが稼げるのなら、ある程度速めで切ってやる事を意識するべきだろう。 またカメラブレは、三脚で固定した状態でもおき得る現象だということもしっかりと意識しなければならないだろう。 話しは逸れるが、ライカのような一見無駄とも思えるほどの静粛性を追及したカメラは、カメラブレを極限まで抑えたカメラと言えるだろう。 そういった意味では、「線の細い写真」=「シャープな写真」という事で追求していくと、やっぱり布幕横走シャッターのライカなのかもしれない。 ともあれ、ブレボケ写真を警戒するあまり、シャッターが切れなくなっても仕方が無い。 多少ぶれていようが、ピンボケしていようが、写ってなければ意味が無いわけで、本音を言うと、個人的には、あんまり気にしていない。 というか、全然気にしてないかも・・・
by tks-thekid
| 2009-01-22 12:35
| 四方山話し
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