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露出計に頼らずに露出を決定する方法

ハードウェアの話しに入る前に、露出計に頼らずに露出を決定する一つの方法を紹介しようと思う。
クラシックカメラ愛好家なら一度は耳にした事があると思うのだが「感度分の16」という理論がある。
これは渡辺さとるというカメラマン「旅するカメラ」という著書の中で紹介した物だ。

ざっくり説明すると、太陽光線は世界中どこでも同じなので、晴れているときの屋外では、絞りF16、シャッタースピードは

設定ISO感度の分の1(ISO100の場合は1/100)にあわせれば凡その適正露出が得られるという理論だ。
ただ、F16まで絞り込んで撮影する事はあまり無いし、1/100というシャッタースピードは若干中途半端で通常1/125なので、

少しわかり易い表現に変えるとすると感度10倍分の5.6という事になる。
これで計算すると、晴れた日の屋外では、ISO100の時、絞りはF5.6、シャッタースピードは1/1000という事になる。

日陰や薄曇の時は2段、夕暮れは3段、日中の屋内は5段、日没後の屋外や室内は8段、暗くなる。
これを各シチュエーションごとに頭に叩き込んでおけば、露出計に頼らずに直感的な撮影ができるようになるわけだ。

で、2段とか暗いとか3段くらいとか一体なんじゃ?どうすりゃいんじゃ?という事になるが、暗い時は絞りを開けるかシャッ

タースピードを遅くしてやる必要がある。
絞りは以下のように並んでいる。
1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32

F5.6から2段開けるということはF2.8という事になる。
F5.6から3段あけるということはF2という事になる。

シャッタースピードは以下のように並んでいる。
8 4 2 1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500 1/1000 1/2000 1/4000

1/1000から二段遅くするということは1/250になる。
1/2000から三段遅くするということは1/125になる。

絞りが1.4倍の数列になっていて、シャッタースピードが2倍の数列になっている。
1段分は光の量にすると倍、若しくは半分となる。

それでは、例えば、日没後の屋内で開放F値が2.8のレンズでフラッシュを使わず撮影する場合どうすれば良いだろうか。
日中の屋外よりも8段暗い。
F値は開放まで開けても2.8なので2段分しかあけられないし、シャッタースピードも8段も遅くしたら1/4でブレブレまっしぐ

らだ。
それでは組み合わせてみたらどうだろう。
絞りは開放でF2.8で2段あけているので、シャッタースピード1/15まで早くできる。
それでもやはり遅い。
このレンズが例えば28mmであれば1/30までシャッタースピードを上げればなんとかブレずに撮る事ができる。

となると後1段。
こういう時にISO感度を上げれば良い。
ISO200のフィルムなら夜の屋内でもF2.8 1/30で切れるわけだ。
しかしフィルムカメラでは、フィルムを交換するしかISO感度を上げられない。

となれば、そんな状況で撮影するとわかっている時は最初からISO感度の高いフィルムを入れておくべきだろう。
基準としては、晴れている時の屋外ではISO100、日中の屋内はISO400、日没後はISO800以上という感じだ。
また、運動会などのように望遠レンズを使い尚且つシャッタースピードを稼ぎたいような時は、晴れた日の屋外であったとし

てもISO400を選ぶ等、状況に合わせたフィルムの選択が必要だ。
そういった意味で、デジタルカメラのISO感度のフレキシビリティというのは、非常に画期的なわけだ。

さて、ハードウェアの話しに入ろうかと思ったが、今日はここまで。
早速週末は、フルマニュアルで「感度分の16」の撮影を楽しんでみてはいかがだろうか。
by tks-thekid | 2009-01-09 17:55 | 四方山話し
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